君に捧げる花束を
「芦屋さんのダンス、可愛かった。」
唐突に真後ろから声がかかって飛び上がった。
「あ…、鈴村君。」
茶色の明るい髪をなびかせながら、鈴村君が清花の横に並んだ。
「ダンス、習ってたんだって?話してるの、聞こえた。」
「そうだよ!中2で辞めちゃったんだけどねー。」
「そうなの?なんで?」
「ちょっと、体壊しちゃって…」
「そうだったの!?大丈夫??」
「ちょい待てや。」
完全に話の輪から外れた西川君が、どんどん清花に近づいてゆく鈴村君をべりっと引きはがした。
引きはがされた鈴村君の表情が一気に変わってむっとした表情になる。
不機嫌そうな表情を隠そうともせず、鈴村君は西川君にぶっきらぼうに言った。
「何。」
「お前、突然なんなの。」
「芦屋さんの、知り合い。」
「いや、顔近いから。」
「お前に注意される筋合いない。」
「芦屋さんにはあの冷たいイケメンがいるんだから、お前は来んな。」