君に捧げる花束を





弓道場には、三年生の保護者が集まっていて三年生はひとりひとり、座射という形式で、矢を放っていった。




審査の時や、お正月明けに行う射初めの時などに行う、きちんとしたやり方…と美乃莉ちゃんが説明してくれた。






しん、とした静けさの中、道場内にいる生徒達の、最後の姿を固唾を呑んで見守った。






函南君は、大会の時より、ひとつひとつの動作をゆっくり行っていく。まるで芸術みたいに凛としていて、綺麗…。






的を見据える、涼やかな目。


真っ直ぐ伸びた背筋。



ぶれる事のない、狙い。






バシンという弾かれたような音がした直後、目にも止まらぬ速さで残像を残し、矢は真っ直ぐ放たれた。





突き刺さった先は、的ではなく的が埋まるよう、綺麗に整えられた茶色の土だった。





あ…、外したんだ。



函南君が外す所を見たのは初めてだった。



それでも、眉一つ動かさず、静かに弓を倒して床に座り、函南君は次に巡ってくる順番をじっと待つ。



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