君に捧げる花束を
座射が終わると、すぐに函南君のお父さんは踵を返して去って行ってしまった。
そして、その後ろをお母さんが何か言いながら困ったような表情で追いかけていく…。
失礼なことをしてる、と思いつつもその表情を目に映そうと、瞳を細める。
その時ーー、
清花は、ひとつ真実を見つけた気がした。
どくん、と静かに脈打ち始める鼓動。
一歩、そちらに吸い寄せられるように歩みだす。
大きくなり始めた鼓動に押されるようにして、もう一歩、歩みを進める。
エレベーターの中に入っていく二つの影。
「ちょ…!清花どうしたの…?」
まりあが当惑した声で問いかけたのに答えず、清花は駆け出して、閉まる寸前のエレベーターの中に滑り込んだ…。
60日目ーー。
私が見つけた、ひとつの可能性。