君に捧げる花束を
しばらくして、函南君がやってきた。
「お待たせ。」
いつものポーカーフェイスで淡々と函南君が言った。
くぁ~!今日もブレないかっこよさだね!
ひとり悶絶している清花に函南君は不審そうな顔をしつつ、ハテナを浮かべている。
「お疲れ様、帰ろ!」
清花が満面の笑顔で返すと、函南君も気を取り直したように、頷いた。
いつものように、他愛もない話をしながら、通学路を進む。
言うのは勇気がいるけど…、絶対に伝えたいと思っていたことがあるんだ。
清花はいつ切り出そうか迷っていた。
ちらり、と函南君の顔を伺うと、タイミング良く函南君も清花の方を向く。
ごくっと喉がなる。チャンスだ。
「ねぇ、函南君。
お父さんと、お話してみたら?」
お父さん、という言葉を耳にした途端、函南君の口元がほんの僅かに動いた。
「一度、ちゃんと話した方がいいんじゃないかな?弓道やりたいって。これからも続けたいなら、それを言ってみたら?」
「いきなり、何。」
睨むような視線。うん、予想通りの反応だ。
「何も知らない奴が口を出さないでくれる。」