君に捧げる花束を
初めて聞いた、函南君の怒鳴り声。
悲しみとも取れるような、苦しい瞳。
彼は自分を落ち着けるように、ゆっくり呼吸をした後、ぽつりと言った。
「まじなんなの。余計なお世話。
全部知ったみたいな事いいやがって。
俺の事知りたいとか思ってるみたいだけどさ。
…よく知りもしないやつに理解されるのが、嫌いなんだよ。
それを理解してない事自体、あんた、俺を理解してないだろ。」
清花を真っ向から拒絶した言葉を吐いたあと、最後に一段と低い声で言い放った。
「俺、あんたみたいなやつほんと嫌い。」
その台詞が鋭利なナイフのように、心に深く刺さった。
頭を鈍器がなにかで殴られたみたいな衝撃。
視界が、この世のものじゃないみたいに、奇妙に歪む。
呼吸が、苦しい。
病気の発作も凄く凄く苦しいけど、
今の言葉と、
言ってから、自分でその言葉に傷ついているような、
自分を嫌悪しているみたいな函南君の顔を見ると。
身を切られるより、辛い。