君に捧げる花束を




「ま、待って…!」




急に声を出したせいなのか、清花は咳き込んだ。
こほこほいいながら、靴を履き替えると、慌てて函南君の元に駆け寄る。








「ごめんね!貴重な時間を…怒ってるよね…」






「じゃなくって…!」





振り向いて、函南君はようやく視線を合わせてくれた。






あれ、…函南君、顔赤い…?





「別に怒ってねー。」





「……熱があるの?大丈夫?」






具合悪いとイライラするもんね。






「は?ないけど。」






相変わらず涼やかな視線から飛ばされる目力は冷たい感じに見えるけど、

よく見れば、少し眉を寄せて困ったような表情で。

ほんの少しな変化だけど、函南君は決して怒ってないと分かった。






「ありがとー…。」







「別に。」


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