君に捧げる花束を
ふたりが向かったのは、中庭。
暖かい春風に、桜の花びらが混じる。
「んーー……きもちいー…。」
麗らかな木洩れ日が中庭のベンチに降り注いでいる。
並んで近くに座るのは、心拍数が大変な事になるので、少し間を空けて座った。
「あの…お口に合わないかもしれないけど!どうぞ!」
袋から出して、フタを取ると、お弁当箱を函南君に差し出した。
「いただきます。」
ひゃあーっ!いただきますって言ってくれた!
それだけで、テンションは急上昇する。
そして、彼が最初に口に運んだのは、定番の卵焼き。
甘めが好きで中にチーズを入れているのだが、函南君は美味しいと言ってくれるだろうか。