俺と君
新一年生。つまり俺たちの代の生徒で昇降口は混雑していた。昇降口のガラスにはそれぞれのクラスと番号が掲示してあった。
俺とやっちはお互い自分の名前を探した。横から「あ〜」と言う声が聞こえ、掲示してあったプリントを見ると、残念ながら同じクラスではなかった。残念だ。

「ほら、急ぎなさい」
「え?あ、はい?」

振り返ると、若い女性の先生が立っていた。どこかで見たことあるなと思ったら、仮クラスの時の担当の先生だった。
俺とやっちは驚いて、「すみません」といいながらそれぞれのクラスに走った。俺は5組でやっちは1組、しかも東側と西側で棟まで違うという見事に離ればなれ。まぁ、
仕方ない。
5組の入口には座席表が掲示してあった。なんと、2列目の前から2番目。席に着く。教卓が近い。しかも、隣の人は見るからにチャラい。耳にはピアス、髪はワックスで決めている。でも、とてつもなくイケメンだ。チャラいがヤンキーと言う感じではない。チャラいといってもモデルっぽいチャラさだ。まぁ、これも何かの縁。
縁のはずだった…。
そう、俺はこの時、これが運命の出会いだったことに、まだ、気づいていない。

これが、君との最初の出会い。

暖かな春の風が、薄紅色の桜の花びらと共に新たな運命を運んできたのだ。
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