君とカフェで会えたら
カフェclover
5月16日今日も爽やかな晴天で私、
安里可鈴は教室の窓から校庭を
眺めていた。
私は1年の内で5月が一番好き、春から夏に向けて爽やかな空になるから・・・
肌をかすめる柔らかな風も5月になると夏の爽やかな風に変わるから。
私はウエーブがかったボブショート、
本当はサラサラなロングのストレート
ヘアに憧れているけど、天パーだから
伸ばしたら髪の手入れが大変になりそうで楽なショートにしてる。
私はいつもの癖で髪を耳にかけた。
考え事をしている時や集中している
時などは無意識にそのしぐさを
しているらしい・・・。
教室から見えるのは校庭で話しながら
盛り上がっている3年生達の大きな輪だ。
そして、その大きな輪の中心にいるのはおそらくこの学校で1番のイケメン、
湊 健吾先輩だった・・・・
湊先輩は、元サッカー部でほんのり焼けた肌に黒髪のゆるい天然パーマでマッシュルームカットの頭、目元のホクロが印象的な今風の
イケメンだ。
私は身の程知らずだけど2年年上の
湊先輩に恋をしていた。
2、3年生の女子が知ったら、
1年の癖にって思うんだろうな・・・。
もし私が逆の立場だったら
絶対嫌だろうなぁー。
湊先輩とは話した事は1度もないけど優しい人だって事は分かる・・・
だっていつも男女問わず友達に囲まれて笑ってる・・・
性格が悪かったらきっと、こんなにクラスメイトが集まらないと思うし・・
いつも見てるから分かるんだ。
この間、先輩が校庭の隅に咲いているスミレの花を花壇に植え替えてあげているのを教室の窓から見ていた。
こんなに爽やかで明るくて優しい上に
イケメンで、こんな人本当にいるんだ
な~って最初は驚いたけど私はすぐに
湊先輩の虜になった・・。
遠くから見ているだけでも
眩しくてキラキラ輝いてる・・・。
いいなぁ・・・私も先輩と同じ学年で
同じクラスが良かった・・・そうすれば私もあの中に居たのかな?そんな叶いもしない妄想を膨らませている時、友達の三咲麻友に呼ばれて女子の輪の中に入った。
麻友は可愛い上に優しくて気さくな子でクラスで初めて私の友達になってくれた子だった。
女子たちの会話の中に入ると
何やら授業が終わった後の話をしているようだった。
私の袖を引っ張りながら麻友が言う
「ねぇねぇ!可鈴はこの後時間ある?もし空いてたらファミレス行くんだけど、可鈴も来ない?」
いつも誘ってくれて嬉しいけど、私はこの後バイトが入ってる、
『行きたい』私はその言葉を
飲み込むといつもの言葉で断る
「ごめん···この後バイトが入っ
てるから行けないんだぁ」その言葉を
聞くと麻友は残念そうに
「そっかぁ~」と肩を落とした。
あぁ・・
せっかく誘ってくれたのに・・・・
麻友からの誘いを断ったのは
これで何度目だろう・・・。
申し訳なさそうにしていると
麻友が私の肩を叩いてこう言った。
「まぁバイトだからしょうがないよ
ファミレスなんていつでも行けるし
さまた今度一緒に行こー♪」
「うん!ごめんね」
私が謝ると麻友は明るく振る舞って
話題を上手く逸らしてくれた。
麻友って本当に気が利く子だなぁー
・・私はなんていい友達を持ったんだろう・・・私はこの時、しみじみといい友達を持った事に心から感謝していた。