君とカフェで会えたら
 =次の日=
カフェで先輩に会ってもどうにかいつも通りの挨拶が出来た。
私の元気そうな姿に先輩も安心したような顔をしていた。
(ダメだよ先輩・・・私にそんな表情(かお)を見せたら、また先輩を好きな気持ちが大きくなってしまうよ・・・。)

私がホールに出て接客していると学校帰りの麻友達がカフェに来た事に気付く。

ただ今は仕事中なので手を振る事が出来ない、アリサ達は学校の時と変わらない対応で元気いっぱいに手を振っている・・それが私は少し恥ずかしかった、でも麻友がすかさずアリサ達を引っ張って抑えてくれた。
(麻友・・いつもありがとう・・)

=バイトの後=
いつものように裏口から出ると湊先輩が木の傍に立っていた。
私の姿を見るといつもの爽やかな笑顔ではなく、少し戸惑った顔で
『お疲れ様』と言った。
先輩を見るだけで泣きそうになるけど必死に抑える。

先輩は私の『気持ち』は知らないんだからここで泣くことは許されない・・本当は今すぐにでも駅に走って行きたいけど先輩を無視するなんて・・そんな事出来る訳が無かった。

私は出来るだけ笑顔を作って言った「お疲れ様です、どうしたんですか?」

「いや・・実は・・俺の連絡先渡そうと思って待ってたんだ・・ヒロとの4人で行く映画の日時とか当日連絡取れないと困るからさ・・」

「あ・・そうですよね」
すると先輩は名前と連絡先が書かれたメモを私の手に渡した
「はい、じゃあ登録よろしく!」
それだけ言うと先輩は颯爽と駅へ向かって走って行った。
やっぱり先輩は最高に恰好いい・・好きで、苦しくて先輩の後姿を見ながらまた泣いてしまった。
どうしてかな・・・? 先輩の連絡先をもらえたなんて少し前の私なら飛び上がって喜んでいたはずなのに・・今は物凄く苦しいよ・・・。
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