君とカフェで会えたら

『松戸愛莉』その名前はまるでトップモデルや女優のような華々しいイメージだと勝手に思ったけど､その綺麗な名前に負けない華やかな外見が羨ましく感じた・・・。
「綺麗な方ですね・・・まるでモデルさんみたい。」
すると愛莉さんは「ヤダー可愛い♡いつも健吾がお世話になってるみたいでありがとうね？」
「いえ！お世話になってるのは私の方です。」と言うと急に愛莉さんが私の顔をまじまじと見つめるとこう言った

「何か可鈴ちゃんさー健吾ん家で飼ってるトイプーに似てない？」
（ト､トイプー？！）
「おい､失礼だろゴメンね可鈴ちゃん・・今のはアイツにとっては褒め言葉だと思うんだ､だから気にしないでね？」
「あ・・いいえ全然大丈夫です。」
（先輩は・・・彼女の事､アイツって呼んだりするんだ・・・。）
すると愛莉さんは少し悲しげな表情でこう言った。
「ねぇ〜疲れたから早く帰ろうよ」
その言葉に私はすぐに消えようと思った。
「先輩､私急がないとなので・・・お疲れ様でした」
「うん、お疲れ様」
「またね可鈴ちゃん♡」
2人に深くお辞儀をすると駅の方へ走った。

走りながら目の前がボヤけてきて涙が頬を伝うのが分かった。
今まで『先輩に彼女がいる』事実をそこまでリアルに感じる事なんて無かったから・・・心の何処かで､もしかしたら本当は彼女なんて居ないんじゃないかとか思ったりしてた・・・だけど。
今日初めて現実に現れた『松戸愛莉』と言う先輩の彼女を見て私の目の前がまた真っ暗になった。

（そうか・・・あれが先輩の彼女なんだ・・もう私には望みなんてない､私が中々先輩の事を諦めないから神様が私に現実を見せ付けたのかも知れない・・・あんなに綺麗な彼女が居るんだからお前なんかには無理だよって・・・そろそろ諦めなさいって言われてる様な気がした・・。）
この時、私の頭の中である決意が芽生えた。
やっぱりこんな中途半端な気持ちで先輩とバイト仲間でいるなんて無理だ。
明日、先輩に告白しよう。