君とカフェで会えたら
[ちょっと待って!]

[えっ?!はっはい··]

[ありがとう···真剣に考えて言ってくれて··俺、初めてかも··女の子に真剣に怒られたの]

[先輩··]

[ずっと心配してくれてたのに··何も連絡しなくて本当にごめん···可鈴ちゃんの言う通りだよ]

[え?]

[俺、今まで壁作ってた··嫌われるのが怖くて··女子の前だと理想の湊健吾で居なきゃいけない気がして··本当の俺を知ったらきっと幻滅されるだろうって決めつけて笑顔の仮面付けて本音隠してたんだ··]

(先輩は先輩のままでいいのに··幻滅なんて··するはずないのに···)

[先輩って意外と乙女なんですね]

[えっ?乙女?!··そっか、そうかもね··可鈴ちゃんの方がよっぽど頼り甲斐あるよ··本音言ってくれてありがとう··何か肩の力抜けたかも]

[それ··私に気を遣って言ってません?]

[いや、マジで本音だよ··怒ってもらえて良かった]

[前の私だったら絶対言えなかったです··でもあの時先輩がちゃんと振ってくれたから今こうして本音を言えたんだと思います··私が強くなれたのは先輩のおかげです]

[可鈴ちゃん··ありがとう···何か可鈴ちゃんと話してると元気になる··何かホント情けないけど可鈴ちゃんになら話せる気がしてきた]

[··でも、私に話したらダメですよ?··悩みなら岡田先輩か愛莉さんに言って下さい]

[うん··そうだね、こちらこそ友達としてこれからもよろしくね]

[はい!]

[あ、もうこんな時間··じゃあ可鈴ちゃん、またね··おやすみ]

[はい!おやすみなさい]
電話を切ると手に力が入っていたのか携帯を持っていた手が少し痛くなっていた。

何だかいつもとは違う··先輩の心に一歩近づけた気がした··でもこれは友達として仲良くなれただけだということも分かってる··
だけど自分の気持ちを今相手に伝えることの重要さを先輩に知っていて欲しくて···
自分の言葉で伝えたくなった···。

間違っていても··これが私の先輩を思う気持ちなんだから··今更隠したって仕方がない
私はこれからもずっと湊先輩が好き
それだけは決して変わらない。
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