2・5次元の彼女
オフ会の当日。
精一杯のおしゃれをして、待ち合わせ場所へ向かった。

私は背が低いから少し高めのヒールを履いて、たぶんHARUは年上だから、隣に立っても遜色のないよう大人っぽい上品なレースのスカートと白いカーディガンを羽織ってきた。

慣れないスカートを手で押さえながら、待ち合わせ場所から少し離れた位置、周囲を見渡せる場所で、そわそわと様子を伺う。
イリーナは『来ればわかる』と言っていたけれど、みんなの顔も知らないのに、どうやって集合するつもりだろう。

ふと、私が人混みの奥に目をやると
『エミリアファンタジー御一行様』という旗を高々と掲げる人物が一人。


うっわぁぁぁ……

なんてことしてくれるんだ。

恥ずかしいっ!


私はこっそり近寄りながら、その人物を観察した。

どうせこんな恥ずかしいことを堂々と出来るのはイリーナしかいない。と思いきや。
あれ? と私は目を疑う。
その人物は男だった。
茶髪、パーカー、ジーンズといった今どきっぽい格好の彼は、おそらく20代前半といったところだろう。

ここで悩んでいても始まらない、私は恐る恐るその人物に声をかけた。
「あの……すみません」

旗を掲げたその人物は「あれ? 女の子がきた。誰?」と不思議そうな顔をした。


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