2・5次元の彼女
「ユウです」
遠慮がちにそう告げると
「え!? ユウさんなの!?」
彼は驚きながら私の手を持ち上げて、両手を強く握り締めた。

「俺、イリーナだよ! はじめまして!」

とびきりの笑顔で彼――イリーナは私の腕をぶんぶんと振るって握手を交わす。

うそぉ!?

驚きで開いた口が塞がらない。

イリーナが男!?


よくよく考えてみれば自分だって性別を詐称しているじゃないか。
どうしてその可能性に気づけなかったのか、自分でも不思議だった。

どうしよう。
この光景を見たら、景斗はショックを受けるだろう。


「ねえ見て! ユウさん女の子だったよ! びっくりだね!」
イリーナは、はしゃぎながら後ろにいた背の高い男に声をかける。

「ああ。驚いたな」
低い声で呟いたその男性は、私の前に歩み出た。

え……?

彼はもしかして……

私の鼓動が大きな音を立てて騒ぎ始めた。


「初めまして。HARUです」
彼はにっこりと甘い笑顔を浮かべて、男らしい低い声で言った。
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