2・5次元の彼女
少なくとも、今現在は彼女と付き合うことなんて考えられない。
だが、彼女が魅力的だということは分かる。ついつい打算が頭をよぎってしまう。

この先、もしもユウさんのことを忘れられる日が来たら
彼女と付き合いたいと思うかな?

しかし、その日がいつくるのかはわからない。約束もできない。
終わりの見えない時間を待たせるなんて失礼なことはできない。

「待たせることなんて、できません」

景斗がやっとの思いで呟くと、綾はにっこりと笑いながらとんでもないことを言い出した。
「じゃあ、とりあえず、お試しで付き合ってみませんか?」

は?

景斗は引きつる。

お試しってなんだ。普通に付き合うのと一体何が違うのか。

「これで、彼女のことがどうしても忘れられなかったら、別れてくださって結構です。
でも、もし私のことを気に入ってくれたなら、正式な彼女にしてもらえませんか?」
キラキラした瞳で微笑まれて、どうにも断り辛くなる。

押しに弱いのが景斗の悪いところだ。

どう答えようか悩んでいると
「決まりです」
綾はそう言って景斗の腕にぎゅっと自分の腕を絡めた。
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