2・5次元の彼女
嬉しそうに抱きつく綾を見て、余計に断り辛くなってしまった。

流れに抗えない自分に嫌気が差しながらも、このまま付き合ってしまえばユウのことを綺麗さっぱり忘れられるのでは、と期待を抱く。

微笑みかけてくる綾に、景斗は困惑しながらも笑みを返した。


「水原さん、少し屈んでもらえますか?」
「うん?」
綾の言葉に、どうしたのかと景斗は歩きながら背中を丸くする。

すると
綾はぴょんと背伸びして、一瞬だけ、景斗の口元にキスをした。

「!?」

突然の出来事に、思わず景斗は仰け反る。
景斗の慌てた表情を見て、綾はくすくすと笑った。

景斗は視線を逸らして恥ずかしさをごまかした。
「試しに付き合うって、こういうこともするの?」
「何事も試してみないと、わかりませんから」
綾は悪戯っぽくおどけた声で答えた。
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