2・5次元の彼女
第8章 それでも私には彼しかいない
***第8章***



景斗のバカ。最低。大嫌い。

景斗の家から駅までの道のり。ドカドカと地面を踏み鳴らし、街灯とわずかな店の明かりに照らされた大通りを歩いた。


こっちは景斗の気持ちに答えられないことを真剣に悩んでいたのに。
まさかさっさと新しい彼女を作って気持ちを切り替えているなんて。
自分だけ振り回されたようで、馬鹿みたいだ。


景斗のくせに、生意気だ。
ころころ変えられるほど女がいるなんて。
割り切って次に行ける器用さなんて。
景斗のくせに……

私の知っている景斗は、真面目で不器用で一途で
おろおろと困っている彼の背中を押してやるのが、私の役目だったはずなのに。
なんだか裏切られたような気分だ。
全てが腹立たしく感じられた。
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