2・5次元の彼女
しばらくダーツに熱中していた私がふと後ろのソファに目をやると、景斗の姿がない。

「あれ? 景斗は?」私がイリーナに尋ねると
「さあ、トイレかな」ダーツの羽を調節しながらイリーナは適当に答える。

そこに席を外していたHARUが戻ってきた。

「どうした?」
「ねえHARU、トイレに景斗いた?」
「いや、見なかったが? いないのか?」
「うん……」
HARUの言葉に頷きつつ、私は悩ましい表情のまま腕を組む。

なんだか嫌な予感がした。

大丈夫かな。
あんなにべろんべろんに酔っ払っちゃって。
どこかに倒れてたりしないかな……

「ちょっと探してくる」
ふたりにそう言い残して私は席を立った。


景斗、どこ?

フロアやトイレを一回りしたけれど、どこにもいない。

他の階に行っちゃったのかな?

ふとエレベータ脇にある非常階段へ繋がる扉が目に入って、私はその扉を開けた。

そこはより一層薄暗くて、端にはいくつか業務用のダンボールが積みあがっていた。
コンクリート打ちっぱなしの無機質な床。あまり掃除もされていないらしく、関係者以外が立ち入ることを想定していないようだ。

少し階段を下ると踊り場の隅。
段差に腰掛けて、うずくまっている景斗の姿。

見つけた!
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