2・5次元の彼女
「お前らに会ったのは、丁度ゲームを辞めようかなって思ってたときだった。
結婚式も決まって、仕事も忙しくて、今まで通りプレイするのは難しくなってたからさ。
潮時かなって思ってた。
そんなときにさ。初心者グループがスタート地点近くであーでもないこーでもないってオロオロしてる訳だよ。
ちょっと助けてやったら、なんだか妙に懐かれて。
別に俺なんて古くからやってたってだけで、大して強くもないけどさ。そんな俺より弱っちょろい奴らがHARUさんHARUさんって頼りにしてくれて。
それがお前ら」
目をつむったまま懐かしむHARUの姿を見ながら、私も一緒に目を閉じた。
その頃の自分が思い出される。
ゲームを始めたばかりの私。右も左もわからず、とりあえずスタート地点で同じようにオロオロと戸惑っていた男女のペアに声をかけた。
『こんにちは。最初はどこに行けばいいのかな?』
『こんにちは。私たちも今始めたばかりで、さっぱりで……』
『とりあえず、町にいるNPCに話を聞いてみない?』
私たち3人はスタート地点のある町の中を駆け回った。何かしらの行動を契機に最初のイベントが始まるはずなのだが。武器屋、防具屋、宿屋、目につく場所を回ったが、なかなかそれが始まらない。
薬屋を調べ終わったところで、私たちは途方に暮れて立ち止まった。
『さっぱりわからないわ~。どこにいけばいいのかしら』
『まさか出だしからこんなに悩まされるとはな』
『何か見落としているのかもしれないね。もう1周辺りを回ってみようか』
初心者丸出しの会話をする私たちを見て、通りすがった強そうな騎士が立ち止まった。
困った人には手を貸さずにいられないタイプらしい。『お節介かな?』と前置きして、その男は話しかけてきた。
『最初のイベントは町の外に出たら始まるよ。確かに分かり辛いよな。
つか君ら、会話が周りに筒抜けだぞ? パーティ限定にしたら?』
これが私たち――ユウと景斗とイリーナと、そしてHARUとの出会いだった。
HARUは始めたばかりの私たちを温かく見守り、手助けをしてくれた。
いつでも優しくて頼もしい彼の後ろ姿に、私はゲームの中だなんてことは忘れて、こっそりと恋心を抱いた。
結婚式も決まって、仕事も忙しくて、今まで通りプレイするのは難しくなってたからさ。
潮時かなって思ってた。
そんなときにさ。初心者グループがスタート地点近くであーでもないこーでもないってオロオロしてる訳だよ。
ちょっと助けてやったら、なんだか妙に懐かれて。
別に俺なんて古くからやってたってだけで、大して強くもないけどさ。そんな俺より弱っちょろい奴らがHARUさんHARUさんって頼りにしてくれて。
それがお前ら」
目をつむったまま懐かしむHARUの姿を見ながら、私も一緒に目を閉じた。
その頃の自分が思い出される。
ゲームを始めたばかりの私。右も左もわからず、とりあえずスタート地点で同じようにオロオロと戸惑っていた男女のペアに声をかけた。
『こんにちは。最初はどこに行けばいいのかな?』
『こんにちは。私たちも今始めたばかりで、さっぱりで……』
『とりあえず、町にいるNPCに話を聞いてみない?』
私たち3人はスタート地点のある町の中を駆け回った。何かしらの行動を契機に最初のイベントが始まるはずなのだが。武器屋、防具屋、宿屋、目につく場所を回ったが、なかなかそれが始まらない。
薬屋を調べ終わったところで、私たちは途方に暮れて立ち止まった。
『さっぱりわからないわ~。どこにいけばいいのかしら』
『まさか出だしからこんなに悩まされるとはな』
『何か見落としているのかもしれないね。もう1周辺りを回ってみようか』
初心者丸出しの会話をする私たちを見て、通りすがった強そうな騎士が立ち止まった。
困った人には手を貸さずにいられないタイプらしい。『お節介かな?』と前置きして、その男は話しかけてきた。
『最初のイベントは町の外に出たら始まるよ。確かに分かり辛いよな。
つか君ら、会話が周りに筒抜けだぞ? パーティ限定にしたら?』
これが私たち――ユウと景斗とイリーナと、そしてHARUとの出会いだった。
HARUは始めたばかりの私たちを温かく見守り、手助けをしてくれた。
いつでも優しくて頼もしい彼の後ろ姿に、私はゲームの中だなんてことは忘れて、こっそりと恋心を抱いた。