2・5次元の彼女
「……別に、友人なんかどうでもいいって思っているわけじゃありませんよ?」
ポカンと口を開けた景斗のリアクションを見て、薄情な女と思われていると感じたのだろう、彼女が言葉を付け加える。

「友人だって、ちゃんと理解していると思うんです。
自分のしていることがどういうことなのか、それが自分にとって正しいのか、なんて。
でも、それでも考えた上でその道を選ぶなら、もう何も言えないと思うんです」

小皿の上に乗ったお料理を一口、口に運びながら、彼女は淡々と答えた。
景斗は頷きながら、彼女にばれないように小さなため息をつく。

彼女の言う通りだ。
ユウだって自分が何をしているかくらい、ちゃんと分かっているだろう。
ユウの決断が、決して軽々しいものなんかじゃないことも知っている。
大いに悩み苦しんだ上で、未だHARUと一緒にいる。
それだけHARUの存在は大きく、かけがえのないものだったということだろう。

分かっている。が、割り切れない自分に景斗は唇をかみ締めた。

そんな様子を見た綾は、困ったように笑う。

「でも」と言って箸を置いた綾は身を乗り出した。
「もしも水原さんが不倫をしているなら、全力で止めます」

「僕?」

景斗は驚いて、わずかに身を引く。
彼女の挑発的な視線に、どきりと胸が揺れて、思わず息を飲み込んだ。
< 174 / 241 >

この作品をシェア

pagetop