2・5次元の彼女
「……」
とてもYESとは言えなかった。
なにしろ、現時点で既に迷いだらけ。
押し殺し切れない感情が暴れていて、どうにも手がつけられないから、今目の前にあるデートにも身が入らないで困っている。
彼女は祈るように両方の手のひらを胸の前で握り締めて、うつむいた。
「私は、どうせダメになるなら、全部やり切りたいです。
受け入れてもらえなかったとしても、思いの丈、全てぶつけて、ぼろぼろに当たって砕けて終わりたいです。
……今、そういう気持ちで水原さんに向き合っています」
彼女の言いたいことを理解して、景斗は視線を横へ逸らした。
自分は何をしているのだろう。
目の前の彼女はこんなにも真剣に向き合ってくれているというのに。
当の自分は中途半端。
ユウへの想いを断ち切ることもできず、綾の想いを受け取ることもできない。
どっちにも行けず、何も決断できず、ふらふらと悩む自分に溺れている。
ただ、自分が傷つくのが怖いだけ。
情けない――
景斗は唇をかみ締めた。
と、そのとき、「……ごめんなさい」消え入りそうな声が響いて、景斗は視線を正面に戻した。
目の前には、先程とはうって変わって、今にも涙が溢れそうな気の弱そうな瞳が2つ。
「好き勝手言ってごめんなさい。私の意見を押し付けるつもりはないんです。
水原さんは、水原さんの考え方があるんですよね……」
そう言って、彼女はうつむきがちにカクテルグラスを唇につけた。
「つい熱くなってしまいました。水原さんがあまりにもその女性に捕われていたから。
ただの嫉妬です。すみません。
何を言われても気にしないって約束したのに、みっともないですね」
しゅんとして恥ずかしそうに目を逸らす彼女。
緊張の解れた景斗は、フッと笑って小さく息を吐いた。
とてもYESとは言えなかった。
なにしろ、現時点で既に迷いだらけ。
押し殺し切れない感情が暴れていて、どうにも手がつけられないから、今目の前にあるデートにも身が入らないで困っている。
彼女は祈るように両方の手のひらを胸の前で握り締めて、うつむいた。
「私は、どうせダメになるなら、全部やり切りたいです。
受け入れてもらえなかったとしても、思いの丈、全てぶつけて、ぼろぼろに当たって砕けて終わりたいです。
……今、そういう気持ちで水原さんに向き合っています」
彼女の言いたいことを理解して、景斗は視線を横へ逸らした。
自分は何をしているのだろう。
目の前の彼女はこんなにも真剣に向き合ってくれているというのに。
当の自分は中途半端。
ユウへの想いを断ち切ることもできず、綾の想いを受け取ることもできない。
どっちにも行けず、何も決断できず、ふらふらと悩む自分に溺れている。
ただ、自分が傷つくのが怖いだけ。
情けない――
景斗は唇をかみ締めた。
と、そのとき、「……ごめんなさい」消え入りそうな声が響いて、景斗は視線を正面に戻した。
目の前には、先程とはうって変わって、今にも涙が溢れそうな気の弱そうな瞳が2つ。
「好き勝手言ってごめんなさい。私の意見を押し付けるつもりはないんです。
水原さんは、水原さんの考え方があるんですよね……」
そう言って、彼女はうつむきがちにカクテルグラスを唇につけた。
「つい熱くなってしまいました。水原さんがあまりにもその女性に捕われていたから。
ただの嫉妬です。すみません。
何を言われても気にしないって約束したのに、みっともないですね」
しゅんとして恥ずかしそうに目を逸らす彼女。
緊張の解れた景斗は、フッと笑って小さく息を吐いた。