2・5次元の彼女
ユウはHARUから離れることはできない。
説得したところで変わらないだろう、と景斗は思う。
できるなら、とっくにやっているだろうし、もう何が正しいか、何をすべきかという話ではないのだと思う。
彼女は愛情深いから。きっと一度愛した人をそうそう忘れることなんてできない。
それならば。もうHARUの方をどうにかするしかない。
景斗の思考回路はそういう結論に至った。


「俺のせいにするなよ」
HARUは景斗の言葉を軽く笑い飛ばして肩を竦めた。

「彼女が自分で俺を選んだんだ。
景斗にとやかく言われることじゃないと思うけど」

そう言ってソファにどっしりと腰を下ろし、ウーロン茶をグラスに注ぎ始めた。
7分目まで注いだところで、それを景斗の方へと差し出す。
もちろん景斗はそんなものを受け取る気はない。

「どうしてHARUさん、なんでこんなことするんだ」
景斗の言葉に少しだけ感情が混じった。
それは素直な景斗自信の感情だ。
信じていたのに。どうして裏切るようなことをする?
どうしてユウを苦しめる?
そんな疑念と非難が入り交じる。

HARUは答えを変えなかった。
「これは俺とユウの問題だから。
景斗に言われてどうこうする話じゃない」
冷たくそう言い放ち、腕を組み、目を瞑る。これ以上話すつもりはないという態度をその姿で表す。

が、こちらも引き下がるつもりはない。
「これ以上、ユウさんが悲しむのを黙って見ていられない」
一歩。じりっと彼へ歩み寄った。
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