2・5次元の彼女
第10章 正しい選択と間違った感情
***第10章***



いつもならもっと甘くて柔らかい声が私の疲れを吹き飛ばしてくれるのに。
今日のインターホン越しのHARUの声は、なんだか他人行儀で。
私はあれ? と首を傾げた。

玄関で迎えてくれたHARUは、やはりどこか堅い面持ちで。
何があったのだろう。私は不安にかられる。

そして、廊下を半分まで進んだところで気がついた。
その奥、リビングの入り口に、人影があることを。

「……景斗!?」
私は思わず足を止めて身体を震わせた。

どうしてここにいるの?
こんなところで何をしているの?
HARUの家に遊びに来た……とはとても思えない。

「ユウさん……」
私の名前を呟いた景斗は、がっかりとした顔をした。
哀れむような瞳。

なにそれ、責めてるの?
私が未だに、HARUと会っているから?
未来のない恋を、続けているから……?

いまさら何? という腹立たしい気持ちと、悪事が見つかってしまったときのような罪悪感と。
そこに景斗の冷たい視線が絡み合って、私の中でぐるぐると不快な気持ちが駆け巡る。

やだ。
逃げ出したい。

私はHARUへ助けを求める視線を送った。
が、お手上げだとでもいうように肩を竦めるHARU。

HARUと景斗の気まずそうな表情。ぴりぴりと緊張感を含む空気。
ふたりの間に何かあった?

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