2・5次元の彼女
次のHARUの言葉が怖い。
恐怖で頭の中が真っ暗だ。
闇に覆われているよう。
どうしようもなく、苦しい。

そんな私に気がついているのだろうか、景斗は肩越しに振り向くと、私に向かって手を伸ばした。
「ユウさん、来て」

「……」

応えられなかった。
その手をじっと見つけながら、身を強張らせる。

「ユウさん……」

急かす景斗の声に、眼差しに、追い詰められる。

HARUは何も言ってはくれない。

心のどこかで待っていた。
HARUが、私を引き留めてくれるのを。
何でもいい。HARUの元にいなければならないっていう、何か決定的な理由が欲しかった。

そんなもの、あるはずがないのに。

お願い。
何か言ってよ、HARU……

私のすがるような視線を受けて、HARUは口を開いた。

「お前が決めろ、夕莉。
好きにしろ。行きたいのなら、もう何も言わない」

その言葉はもう、逃れようがなかった。

自分がどうすべきか、HARUは私にどうして欲しいのか、分かってしまった。

行くなって、俺の傍から離れるなって
嘘でもいいから、言って欲しかった。
< 198 / 241 >

この作品をシェア

pagetop