2・5次元の彼女
それでも。
守れない約束をしなかったHARUに、どこか救われたような気がした。
引き留めてくれたとしたら、きっとどこか嘘っぽく聞こえただろう。

私のことを、幸せにはできないってことだよね。

差し出された景斗の手の上に、私はそっと手のひらを重ねた。
彼の少し大きな手のひらが、私の手を包み込む。
景斗はゆっくり私の手を引いて、リビングを越え、廊下を抜け、玄関へと歩みを進めた。

振り向くことができない。
HARUの顔は見れなかった。

私の身体が玄関の門をくぐり抜けると
やがて、ガチャンと
背後で扉の閉まる音が聞こえた。


それは
私とHARUとの間にあったわずかな繋がりが、断ち切れた音でもあった。
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