2・5次元の彼女
再び泥酔状態に陥り、物言わぬ貝のように固まった景斗を連れて、私はふたりの元へと戻った。

景斗をツンツンとつつきながら
「あーあ、この調子じゃ1人で帰れそうもないね」
イリーナが軽口を叩く。

「俺が連れて帰ろうか」
見かねたHARUが名乗り出てくれた。

「それとも」
HARUはイリーナに聞こえないよう、私の耳元でこっそりと囁く。
「ユウが連れて帰った方がいいのかな?」

その言葉の意図に、私は青ざめた。

完全に勘違いされている!

私は首を大きく横に振る。
「あの、HARU、違うの、あれは――」
私がしどろもどろになりながら説明しようとすると
「大丈夫大丈夫、わかってるから」
一体何をわかっているのか、HARUは私の頭をぽんぽんと叩きながら弁解の言葉を遮った。

「そうじゃなくて……」食い下がる私に
「別に、俺は気にしていないから」HARUは苦笑いで手を振りながら私に背中を向ける。

なんだよそれー!
だから違うって言ってるじゃん!
私の話を聞いてよ!


結局、誤解を解く機会が訪れぬまま、解散となってしまった。


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