2・5次元の彼女
辺りはすっかり闇が満ちていて
ここに来たときにはあったまばらな人影も今はなく
住宅街のわずかな街灯に照らされた真っ暗な道を、私と景斗のふたりは、ゆっくりと歩いた。

道なんてどうでもよかったし、たいして気にしていなかった。
まぁ、おそらく、駅にでも向かっているのだろう。

一歩先を歩く景斗が、私の手を引いていて
私はただ、黙ったままうつむいて、彼のあとに着いて行った。
どこへ向かっていたとしても
HARUの元へ帰れないことには変わりない。

HARUのマンションが遠くなって、少し開けた並木道に辿り着いたとき、景斗がふと歩みを止めた。

「ユウさん。ごめん」

その声に、私はのろのろと顔を上げる。

「何で謝るの?」

「……」

景斗は答えなかった。
私の声が怖ろしいほど静かだったからだろう。
何も言わず、ただ再び歩き始めた。


わかっている。
景斗は私のためにしてくれた。
彼を責めるのは間違っている。
そして、私がした選択も正しかった。

なのに、どうして。
こんなに絶望的な気分になるのだろう。


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