2・5次元の彼女
「そっか」

景斗の両手から私の手が零れた。
うつむいたまま景斗は、役割を失くしたその両手をコートのポケットへとしまう。
「わかった」
そう答えて、私に背を向けて再び歩き出した。

いつもの穏やかな声に戻っていたが、表情までは見えない。
ゆっくりと、私を気遣いながら、私の一歩先を歩く。

私はこれ以上何も言わず、ただ彼の後を着いて行った。


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