2・5次元の彼女
第11章 私と彼のエピローグ
***第11章***



あれから1カ月が経った。

未だ、心の底から笑えない自分がいる。


あの日以来、心はどこか空虚なままで、張り合いのない日々をずるずるとやり過ごしていた。

思った以上に、私の心の中に占めるHARUの割合は大きくて
その穴を埋める何かを待っているようで、その何かが何なのかはわからなくて。
ひょっとしたら永遠に、何もやってはこないのかもしれない。


仕事は相変わらずうんざりするくらい、いつも通りだし
HARUという目的を失くしたゲームはなんだか虚しくて、ログインする時間が減った。
その分、無駄に睡眠時間だけ増えていて
ひょっとしたら昔より、健康的な生活を送れているかもしれない。


ただ、一日一日過ぎる度に、あの日々は幻のように薄れていって
現実のHARUと過ごした時間は本当に一瞬だったから、今思えばまるで現実感がない。
『HARU』という存在が、徐々にこの世界から、抹消されていくように
そうだとしたら、私の過ごした2年間という日々は一体なんだったのだろう。


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