2・5次元の彼女
私が恐る恐るその封を開けると
まず飛び出してきたのは、白い花。
一枚の、白い花の写真。

「これ……」
「ユウさん、その写真が好きだったんだって?」

私は黙って頷いた。

HARUの家で見せてもらったアルバム。
その中にあった、一枚の写真。
確かに、私はこの写真が好きだと言った。

覚えててくれたんだ。

写真の裏をめくると、黒い油性マジックで何やら英単語が書かれていた。
流れるように達筆で、少し読みにくいけれど

A n e m o n e ……?

アネモネ?

その花の名だと理解して、彼の声が、言葉が、頭の中で再び蘇った。

――なんて花だったかな。忘れちゃったけど――


HARU……
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