2・5次元の彼女
「……ごめん」
私は慌てて手の甲で涙を拭った。

だってどの写真も、今の私とは比べ物にならないくらい幸せそうで……

うん、幸せだった。

あのとき、HARUの隣にいた私は
間違いなく、幸せだったんだ。

涙が溢れて止まらない。
必死に嗚咽を噛み殺しながらも、肩の震えは押さえられなかった。

今さら、悲しくなるなんて。
HARUを失くしたことに
今さら気がついてしまうなんて。


そっと景斗の手が、私の肩を支えた。
それがあまりにも優しくて、余計に辛くなってしまう。

「……景斗、あたし……」

最後まで言葉にならなかった。
景斗の肩に顔を埋めて、ただ、涙が止まってくれるのを待った。

その間、景斗は、何も言わず、ただじっと黙って肩を貸してくれた。
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