2・5次元の彼女
悩みぬいた私が辿り着いたのは、HARUのマンション。
エントランスにあるインターホンに部屋番号を入れて、私は恐る恐る呼び出しボタンを押した。

どんな顔をしていればいい?
モニターに映る私の姿を見たら、HARUはどんなことを思うのだろう。

怖い。

いつもならここで、HARUの低くて甘い声が出迎えてくれる。
が、今日は無言だった。

やがて自動扉が音を立てて開き、インターホンは何の音声も届けぬまま、役割を終える。
HARUは何も言ってくれなかった。

どうして……?

ひどい不安に駆られながらも、私はその扉をくぐる。

ここまで来たくせに、足取りが重い。
さっきまで会いたいとあれだけ願っていたのに、今は怖くて仕方がない。

HARUは、今、私のことをどう思っている?
私と同じように、会いたいとは思ってくれていないのだろうか。
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