2・5次元の彼女
「それにしても、直接会うの久しぶりだよねー」
「そうだねー。いつぶりだろう?」

私は頬杖を着きながら、イリーナと直接会った日のことを思い返す。
確かあれは、イリーナの英語の課題を手伝った日だったろうか。

イリーナもそのときのことを思い起こしているらしかった。
「ええっとー、あの課題をやったのが2学期の終わりくらいだったから……もう3~4ヶ月経つんだね」
「あっという間だったねー。月日が経つのって早いねー」
「いや、俺はまだまだ若いから、そこまで時間が経つのを早いとは思わないよ?」
「……イリーナ……」

遠まわしにオバサンと言われたような気がして、私はイリーナを睨みつけた。
怒気を含んだ眼差しに気づいたのか、イリーナはあっはっはと笑い声を上げる。

「それにしてもよかったの? 俺まで誘ってもらっちゃってさー。
景斗とふたりで会いたかったんじゃないの?」
ちょっと嫌らしい顔をして、イリーナが肘で私を小突く振りをした。

私は、あーなるほどーと腕を組む。
「ふたりきりの方が、もっと高級なもの奢ってもらえたかな?」
「そりゃあそうでしょう。夕食だけと言わず、デート代、丸一日分出してもらいなよ」

悪戯っぽい笑みをキラキラと輝かせるイリーナに、私は思わず苦笑いを浮かべてしまった。
「まぁ、景斗とはデートなんてする雰囲気にはならないからね」

「……へっ!?」
私の言葉に、イリーナは間抜けな声を上げて目を見開く。

「ユウさん、景斗と付き合ってるんじゃないの!?」
「は!?」

今度は私の方が驚かされてしまった。
私と景斗が付き合っている?
一体どこをどう見たらそういう考えに辿り着くのだろうか。

「まさか。付き合ってるわけないじゃん」

イリーナは腑に落ちないという表情で、手元の酒のことすら忘れて、じろじろと私の顔を眺めた。
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