2・5次元の彼女
それどころじゃない、とパソコンの前で取り乱す景斗。

これが正しいと思っていた。
応援しようと決めていた。
自分の感情なんて、いくらでも押し殺せると。

それなのに。

いざそうなってしまうと、胸の中がどうしようもなく苦しくて。

悶える景斗を他所に、ユウから感謝のメッセージが押し寄せる。

『景斗のおかげだよ、ありがとう。
今度お礼しないとね。
私にできること、何かあったら言って』

その言葉が余計に景斗の首を絞める。

どうにかしなければ、と景斗は頭を抱えた。
何とかして繋ぎとめなければ、ユウがHARUのものになってしまう。

気がつくと景斗はキーボードを叩いていた。
『じゃあ、お礼にご飯奢らせてください』

『奢らせて? 奢ってじゃなくって?』
ユウが不思議そうに問いかける。

『いえ、僕が奢るので。
今度は僕の悩みを聞いていただけると』
『OK。わかった。いつがいい?』

快く承諾したユウに、ふつふつと罪悪感が湧き上がる。

あーあ。
やってしまった。

なりふり構う余裕などなかった。
すがりつく自分はきっと酷く情けない。


ごめん、イリーナ。
僕はちっとも仏様なんかじゃない。
自分勝手で、欲深い生き物なんだ。
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