2・5次元の彼女
私の心中を察したのか、HARUが申し訳なさそうに言う。
「初日から家に上がり込むのは、ちょっとどうかと思うけど……」

ひょっとして、誘っていると思われた?
いや、実際そうなんだけども。
でもそれは、いやらしい意味とかそういうんじゃなくって……
ただ純粋に一緒に居たいってだけで……

自分が恥ずかしいことを言ったことに気がついて、気が動転する。
しかも変に気を使わせてしまったし、フォローまでさせて……

ああ、なんでこんなこと言っちゃったんだろう。

「あの、変な意味じゃないから、気にしないで」
私は慌てて手をパタパタとせわしなく振って弁解すると
「なんだ、残念」
HARUが苦笑いで呟く。

残念て……
どういう意味ですか、それ……

HARUはどこを見るでもなく視線を漂わせながら、考え込むような仕草をしたあと
「じゃあ、せめて、これくらいなら許してもらえるかな?」
そういって挑発的な笑みを浮かべて、一歩、私の元へ踏み出してきた。

不意に近付く距離。
彼の手が、私の頬へ触れる。

え?

私が反応するよりも早く

一瞬
ほんの一瞬だけ


HARUは私に唇を重ねた。
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