2・5次元の彼女
嘘……?


HARUは私に頬を寄せたまま言う。
「これで、景斗と同等になったな」

何それ。
ちょっと待って、今……

状況が整理できない。
どうしてHARUが私にこんなことをする?
HARUを好きなのは私の方なのに。

何の言葉も発せられないでいる私の耳元で、HARUが囁いた。
「次は、景斗を超えるから」
私の頭をポンと撫でる。

まさか。そんな。嘘。
HARUは私のこと、どう思ってる?

呆然とする私に
「またな」
HARUはそう別れを告げて、背を向けて歩き出した。
後ろを向いたまま軽く手を振る彼。
その姿がどんどん小さくなって、やがて道の奥へと姿を消す。


もう見えなくなってしまったのに、彼のいた方向から未だ目を逸らせない。

自分の唇に触れた。

HARUが、ここにキスをした。


嘘、嘘……
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