2・5次元の彼女
あんなことがあって
次にゲームの中で会ったときは
一体どんな顔をすればいいんだろう。

こんな状況、当たり前だけど初めてだ。

まぁ、私がどんな顔をしてようが、ゲームのキャラクターの顔は変わらないんだけどさ。


私がゲームの世界を訪れたとき、HARUはすでにログインしていた。
なのに、いつもの薬屋の横へ行っても、彼の姿は見当たらない。
代わりに景斗とイリーナのふたりが、のんびりと話をしていた。

『お疲れ。HARUは?』私が問いかけると
『さっき、どこぞの廃なギルメンに連れていかれちゃったよー』イリーナがよくわからない説明をした。
見かねた景斗が通訳をする。『HARUさんは旧友と狩りに行きました』


こういうことは初めてじゃない。
HARUはこのゲームを長く続けているせいか、古くからの友人が多い。
私たちが知らないような人たちと、パーティーを組んで出かけることが、たまにあった。

仕方がない、と私はため息をつく。
この調子じゃあ、今日は顔を合わせることができないかもしれない。

寂しいはずなのに、どこか安心してしまった。
彼に対してどういう風に接すればいいのか分からない。
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