2・5次元の彼女
気持ちを切り替えて、私はふたりを誘った。
『じゃあ今日は俺ら3人だけで狩りに行くか』

『またこの前みたいな惨事になるよー』
イリーナが憂鬱そうに呟く。

『なら今日は僕が主砲をやるよ。攻撃用に杖を変えてくるから、ちょっと待ってて』
そう言うと、景斗は自分の装備のストックが置いてある倉庫に向けて走り出した。

残された私とイリーナは、どうでもいい世間話をしながら景斗が帰ってくるのを待つ。

そうこうしていると、突然個人チャットにメッセージが送られてきた。
送信元の名前がHARUであることに気がついて、どきりと肩を震わせる。

一体何の用だろう。
どきどきする。


『お疲れ』というメッセージとともに会話のウィンドウが開いた。

HARUが『今日は遊べなくてごめん』と送ってきたので
なんだそんなことか、と嘆息しながら『気にしないで。楽しんできて』とメッセージを送る。

別にいつも一緒にいるグループに縛られることはない。
ゲームなんだから、好きなときに好きな人と楽しめばいいと思う。

それでも、私のことを気にしてくれたのは嬉しいのだけれど。
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