If I think ~告白~
兄は峠では、バイクでも走り屋をしていた。
凄くかっこよくて、今でも鮮明に覚えてる。
私がバイク乗りになった時、
愛用のヘルメットをくれた。
大きすぎて、ブカブカだったけど、私はいつもそのメットを被って走ってた。
スイカみたいな絵柄のレーサーモデルで、やたら目立ってたよ。
でも、嬉しかったよ。
その頃、両親が離婚した。
悪いことは続くもので、
父の会社が倒産した。
到底 払えない負債の取り立てが毎日のように家に来ていた。
父は、取り立てから逃げるように姿をくらました。
兄は連日来る取り立てから家族を守ろうと、保証人になった。
その時、すでに社会人だった兄は苦肉の策で、自分の身を削る決心をした。
全ては残された私と母を守る為に。
それから、兄は借金返済に追われた。
いつのまにか、愛車のスポーツカーのローンも払えなくなってしまい、手放した。
兄はそれでも父を怨むことはなかった。
大好きな父だから。
自分の身を犠牲にしてまで、
私や母、父を守ろうと必死に
頑張っていた。