幸せそうな顔をみせて【完】
 ボタンが全部外され、そして、いつしか下着まで全部ベッドの下に投げ捨てられていた。生まれたままの姿にされ、空気を直に肌で感じてしまう。逃れようと身体を捩ったからか、髪も乱れ、さっきの長すぎるくらいにキスで息も乱れている。でも、恥ずかしいけど嫌じゃなくて…。


 熱と恥ずかしさに泣きそうになる。そして、私の身体が熱を持っていった。


「恥ずかしい」

 
 掠れる声に副島新は私の身体を抱きよせ、耳元で囁くのだった。


「何が?こんなに綺麗なのに。もっと乱れる葵が見たい」


「悪趣味」


「そうか?」


 いつの間にか私の身体に掛かっていたガーゼのタオルケットは捲れてしまい、私の身体は副島新の視線に晒されていた。視線の熱さに自分の身体が燃えるのではないかと思う。あまりの恥ずかしさに隠そうと両手で自分の身体を抱きしめようとしたけど、それも叶わず、私の両手は副島新の手によってシーツに縫いとめられた。


 副島新は私の上に身体を乗せ、足を絡ませてくる。目を見開き見上げると、副島新は今まで見たことのないくらいに切なくそして、甘く私を見つめていた。


「でも、好き」


 それで副島新には私の気持ちが通じたのだと思う。副島新は自分の着ているシャツも無造作に脱ぎ捨てるとベッドの下に投げ捨てられた私の下着の上に同じように投げ捨て、私の身体をギュッと抱き寄せた。私の好きな香りがフワッと私を包んでいく。同じボディシャンプーの香りなのにどこか違う。

 
「俺も好きだ」

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