幸せそうな顔をみせて【完】
「ねえ、いつから私のこと好きだった?」


 昨日の夜からずっと気になっていたことだった。私は一緒に時間を過ごすうちに副島新のその綺麗な外見でなく内面の強さや優しさに惹かれていて、いつしかそれが『好意』ではなく『恋』だと気付いた。でも、同期としての関係がとってもスムーズで、恋によってこの関係が終わるかもしれないと思うと、自分の気持ちを言い出せなかった。


 だから、先に進めなかった。


 でも、それは私のことであって、副島新はどうだったのだろうか?私が副島新のことを好きだったのを知っていたって言っていたから気になってしまう。


「そんなことが気になるか?」



「うん」


「笑うなよ」


 そんな前置きとともに言われた言葉に私が絶句する。



「会社に入った当初、葵には学生時代から付き合っている男がいたから、正直、恋愛感情はなかった。話していると考え方もしっかりとしているし、自分の中での葵は『一緒に仕事をしても楽な同期』だった。でも、多分、葵が前の男と別れた時くらいに、もう少し落ち込むかと思ったけど、そうでもなくて強い女だなって思った」


 まあ、確かに泣かなかったし、綺麗に別れることが出来て良かったと思った。


「でも、別れて一か月くらいの時に何かの飲み会の時に、『もっと上手に恋が出来たら別れなかったかも』と言っていたのを聞いて、俺は『未練があるのか』って思ったら、それから気になりだした」
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