幸せそうな顔をみせて【完】
白板の名前の所に『外出 12時に帰社予定』と書くと、私は荷物を持って営業室を出たのだった。訪問時間にはまだ余裕があったけど、大事な取引先だったので少し早目に出ることにした。横の机を見るとまだ副島新の姿はない。いつもなら、何も気にならないことが気になってしまう。
そんな自分に辟易してしまう。
営業室を出て、玄関に向かうエレベータールームに行くと、丁度、下に行くエレベーターのドアが開いた。開くとそこには副島新とさっき一緒に話していた女の子がいる。まさか、一緒に戻ってくるとは思わなかった。私がここにいるとは思わなかったのか、副島新は驚いたような表情を見せたけど、それも一瞬でいつもの平静さを見せていた。
「お疲れ様です」
そんな言葉と共に、副島新は私の横を通り過ぎ、振り返ることなく営業室に戻って行く。エレベーターのドアが閉まる瞬間まで私は副島新の歩いていく背中を見つめていた。
会社の入っているビルを出ると、湿度の含んだ空気が私の身体に纏わりつく。梅雨が終わったばかりのこの季節はなんとなく憂鬱で仕方ない。でも、2時間前に出社する時も同じような天気だったし、空気も湿度を含んでいた。それでも何も憂鬱には思わなかったけど、今のこの憂鬱さは私の気持ちがそうさせている。
そんなことは分かっているけど…。自分の気持ちを持て余し気味の私は溜め息を零す。
「仕事頑張らないと」
そうは言いながらも副島新のことが頭から離れなかった。
そんな自分に辟易してしまう。
営業室を出て、玄関に向かうエレベータールームに行くと、丁度、下に行くエレベーターのドアが開いた。開くとそこには副島新とさっき一緒に話していた女の子がいる。まさか、一緒に戻ってくるとは思わなかった。私がここにいるとは思わなかったのか、副島新は驚いたような表情を見せたけど、それも一瞬でいつもの平静さを見せていた。
「お疲れ様です」
そんな言葉と共に、副島新は私の横を通り過ぎ、振り返ることなく営業室に戻って行く。エレベーターのドアが閉まる瞬間まで私は副島新の歩いていく背中を見つめていた。
会社の入っているビルを出ると、湿度の含んだ空気が私の身体に纏わりつく。梅雨が終わったばかりのこの季節はなんとなく憂鬱で仕方ない。でも、2時間前に出社する時も同じような天気だったし、空気も湿度を含んでいた。それでも何も憂鬱には思わなかったけど、今のこの憂鬱さは私の気持ちがそうさせている。
そんなことは分かっているけど…。自分の気持ちを持て余し気味の私は溜め息を零す。
「仕事頑張らないと」
そうは言いながらも副島新のことが頭から離れなかった。