幸せそうな顔をみせて【完】
「今日はありがとうございました。では、ご連絡をお待ちしています」


「今日は担当者が外していたのでこちらこそ申し訳ありませんでした。でも、瀬戸さんから直接説明を聞けて良かったとも思います。この契約は私どもにとっても重要なものですので慎重にとは思っていますので、すみませんがよろしくお願いします」


「はい。私もお会い出来て良かったです。これからもよろしくお願いします」


 そんな言葉を残し私はビルを出ると、そこには突き抜けるくらいに青い空が広がっていた。今日のプレゼンは直接の担当者には会うことが出来なかったけど、私なりに頑張れたと思う。まだ、返事は貰ってないのに、自分に満足している部分もある。


 今の私で出来るだけの説明をし、社として十分な金額と条件を提示した。これで駄目なら仕方ないというしかないのかもしれないけど、出来ればこの仕事が欲しいと思う。成績を求められる営業課にいるというのもあるけど、それよりも一つでも契約を取って自分の自信に繋げたい」


 ふと思うのは副島新のこと。


 頑張った私をどう思うだろうか?褒めてくれるどころか『発破』を掛けられそう。


 副島新のことを考えるとフッと肩から力が抜け、顔が緩む。仕事を一生懸命頑張ろうと思う。副島新の横に立っても遜色のない私になりたいと思うのは私が負けず嫌いに他ならない。始まったばかりの私の恋は今まで以上に仕事に前向きにさせてくれるし、きっと強くなれると思う。


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