幸せそうな顔をみせて【完】
 でも、サラダを美味しそうに食べる未知を見ているとつわりが今日は落ち着いているように見える。でも、この間も急にだったから、一緒にいるのだから気を付けてあげたいと思う。


「あんまり無理しないで。身体を大事にしないといけない時期でしょ」


 金曜の話だとまだ妊娠初期で安定はしてない。よくは分からないけど注意しすぎることはない。


「まあね。いきなりつわりってくるから食べれる時に食べるようにしているの。でも、初めてだから分からないことばかりで困っちゃう。でも、今日は比較的に気分もいいから私のことは気にしないで、葵は副島センセイとのことを話してくれていいから」


 そんないいからと言って『はいそうですね』とは言えない。言葉を探している私に助け船をだしたのは香哉子だった。優しい香哉子は私の言いたいことをスムーズに引き出す。


「で、どうなったの?大体のことはもう聞いているんだけど、葵の口からきちんと聞きたいと思っているだけだから」


 大体のことを聞いているというのは…あの日、一緒に飲んでいたあの二人からだろう。副島新の俺様発言の後、一緒に帰ったとなれば察しも着く。でも、金曜日のことを思い出して、言えることを取捨選択してると残ったのは簡単な事実だけ…。


「付き合うようになった」


 隠し事をしても仕方ないので素直にそういうと未知と香哉子は顔を見合わせクスクス笑いだす。何が可笑しいのだろうか?素直に言ったのに笑われるなんて…。


「何が可笑しいの?」

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