幸せそうな顔をみせて【完】
「困ります。私には荷が重すぎます」
「そんなことないよ。瀬戸さんなら出来るから。とりあえず担当の件は置いておいて、明日のアポを確定しておいて、それと新製品の資料を準備して、出来たら、提出すること。内容を見せて貰う」
「はい。わかりました」
「それと、今日のプレゼンも頑張って。今日は一気に押してこい」
「はい。頑張ります」
小林主任の所から戻ると副島新が私の方を見ていた。そして、フッと視線を逸らすとパソコンのキーボードの上に指を動かす。滑らかな動きで動く指と雰囲気が私だけでなく周りを寄せ付けない。誰も今の副島新に話し掛けることは出来ない。そんな雰囲気を纏う副島新の横で私は緑川さんに会うための準備を始めた。
パソコンの中のメールをチェックして急を要するものがないのを確認すると、資料を入れたバッグを持って立ち上がる。声を掛けてから行こうかと思ったけど、仕事の邪魔をしてはいけないと思ってそのまま行くことにした。こんな風に邪魔をしないように出掛けることは今までも何度もあった。
そんな私に小さく囁くようにそして、優しい声が耳に届いた。
「あんまり無理せずに頑張ってこい」
振り向くと、さっきと同じようにパソコンに神経を注いでいる副島新が居て、一瞬、空耳かと思ったけど、私が副島新の声を聞き間違える訳はない。
「ありがと。言ってくる」
その答えに返事はなかったけど、それでも、少しだけ気持ちが明るくなった私は一歩一歩踏みしめるように前を向いて歩くのだった。
「そんなことないよ。瀬戸さんなら出来るから。とりあえず担当の件は置いておいて、明日のアポを確定しておいて、それと新製品の資料を準備して、出来たら、提出すること。内容を見せて貰う」
「はい。わかりました」
「それと、今日のプレゼンも頑張って。今日は一気に押してこい」
「はい。頑張ります」
小林主任の所から戻ると副島新が私の方を見ていた。そして、フッと視線を逸らすとパソコンのキーボードの上に指を動かす。滑らかな動きで動く指と雰囲気が私だけでなく周りを寄せ付けない。誰も今の副島新に話し掛けることは出来ない。そんな雰囲気を纏う副島新の横で私は緑川さんに会うための準備を始めた。
パソコンの中のメールをチェックして急を要するものがないのを確認すると、資料を入れたバッグを持って立ち上がる。声を掛けてから行こうかと思ったけど、仕事の邪魔をしてはいけないと思ってそのまま行くことにした。こんな風に邪魔をしないように出掛けることは今までも何度もあった。
そんな私に小さく囁くようにそして、優しい声が耳に届いた。
「あんまり無理せずに頑張ってこい」
振り向くと、さっきと同じようにパソコンに神経を注いでいる副島新が居て、一瞬、空耳かと思ったけど、私が副島新の声を聞き間違える訳はない。
「ありがと。言ってくる」
その答えに返事はなかったけど、それでも、少しだけ気持ちが明るくなった私は一歩一歩踏みしめるように前を向いて歩くのだった。