幸せそうな顔をみせて【完】
「ごめん。やっぱり無理」
尚之と一緒に食事に行くということは副島新に対して悪いと思った。一瞬、副島新も綺麗な女の人と一緒に出掛けていたのだからお互い様という気持ちも少しは浮かんだけど、それでも、私は副島新が好きでどんなに苦しくてもこの気持ちを大事にしたいと思う。
「そっか。分かった。でもさ、自分のマンションに帰ってからでいいからきちんと食事だけはして。明日会った時に今よりも酷い顔色だったら、明日は強制連行する。上司の前で拉致られたくないだろ」
明日の午前中は小林主任と一緒に瀬能商事に訪問する。そして、新商品について尚之と話すことになっている。そんな席で拉致られたら…正直困るとしかいえない。尚之の性格からして、一度口に出したことは必ず実行する。そんな真っ直ぐな強さが私は好きだった。
仕事が原因で別れたけど、そのことに後悔したことはない。あの時の私と尚之の選択は間違ってなかったと思う。あの時があるから今がある。新しい恋を始めた私は久しぶりの恋で不器用になり、不安を掻き立てられる。嫌われたくないと思う思いが、私を雁字搦めにする。
「尚之のいうことを守る」
私がそういうとホッとしたような穏やかな微笑みを浮かべるのだった。
カフェを出ると私は尚之と並んで一緒に駅までの道を歩いていた。カフェでそんなに話したわけでもないのに、既に夕日は翳り、空を群青色に染めていく。
そんな空を見ながら歩いていると、不意に私の足が止まった。
尚之と一緒に食事に行くということは副島新に対して悪いと思った。一瞬、副島新も綺麗な女の人と一緒に出掛けていたのだからお互い様という気持ちも少しは浮かんだけど、それでも、私は副島新が好きでどんなに苦しくてもこの気持ちを大事にしたいと思う。
「そっか。分かった。でもさ、自分のマンションに帰ってからでいいからきちんと食事だけはして。明日会った時に今よりも酷い顔色だったら、明日は強制連行する。上司の前で拉致られたくないだろ」
明日の午前中は小林主任と一緒に瀬能商事に訪問する。そして、新商品について尚之と話すことになっている。そんな席で拉致られたら…正直困るとしかいえない。尚之の性格からして、一度口に出したことは必ず実行する。そんな真っ直ぐな強さが私は好きだった。
仕事が原因で別れたけど、そのことに後悔したことはない。あの時の私と尚之の選択は間違ってなかったと思う。あの時があるから今がある。新しい恋を始めた私は久しぶりの恋で不器用になり、不安を掻き立てられる。嫌われたくないと思う思いが、私を雁字搦めにする。
「尚之のいうことを守る」
私がそういうとホッとしたような穏やかな微笑みを浮かべるのだった。
カフェを出ると私は尚之と並んで一緒に駅までの道を歩いていた。カフェでそんなに話したわけでもないのに、既に夕日は翳り、空を群青色に染めていく。
そんな空を見ながら歩いていると、不意に私の足が止まった。