幸せそうな顔をみせて【完】
 日替わり定食は店の中でも一番頼まれるメニューだから、運ばれてくるのも早い。頼んでそんなに時間が経たないうちに私たちの座るテーブルにトレーに乗った定食が届けられた。


 今日のメニューは『メンチカツ定食』。皿の上には男の人を満足させることの出来そうな大きさのメンチカツが二つも乗っていた。正直、思ったよりも大きくて、全部食べられないと思った。


 でも、私の目の前に座る小林主任のトレーの上に置かれているご飯はお茶碗ではなく丼に入っている。私は普通のお茶碗でも難しいと思うのに、あのご飯の大きさは特別だと思う。ガッチリとした体形を維持するためにはこのくらい食べないといけないのかもしれないけど、それにしても大きすぎる。


「相変わらずよく食うなぁ」


 そんなことを言いながら中垣主任研究員は息を吐く。私と同じように小林主任の目の前に置かれたトレーを見るだけでお腹いっぱいになるのだろう。


「そうですか?足りなかったらうどんを追加しようかと思ってるんですが」


 この上にうどん??


 小林主任が良く食べるというのは会社の飲み会とかで一緒になるから知っているけど、私が知っているのは小林主任の遠慮した姿だったのかもしれない。


「あの、私はこんなに食べれないので、メンチカツを一個いりますか?」


「そう?食べれないなら貰う」


 お皿に大きなメンチカツが三つも乗っている特大の日替わりランチを嬉しそうに見つめる小林主任の姿があった。
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