幸せそうな顔をみせて【完】
 案内されたのは窓際の席で、丸いテーブルには白とさっきの木製のゲートと同じような色合いの茶色のテーブルクロスが掛けてあり、テーブルには既に綺麗に磨かれたカトラリーが並べてある。その席に私たちが行くと、私から順に椅子を引いて貰い、席に座ったのだった。


 テーブルの上には『予約席』と書かれたプレートが置いてあった。


 豪華な椅子に座ると急に背筋が伸びる気がした。それだけ普段では行かない場所に私はいる。緊張で息を呑む。でも、ちょっとだけよかったと思うのは私がいつもよりも少しだけお洒落な格好をしているということ。


 ジーンズでなくてよかったとは思った。


 副島新はデートだからだとこのレストランの選んでくれた。でも、私もデートだからだと少しでも可愛いと思って欲しくて可愛い服を選んだ。何時もの私の服よりも少しだけ可愛らしいからこの場でも少しでも恥ずかしい思いをしないで済む。


「何にする?」


 そういうと、副島新は私にドリンクメニューをくれた。そして、その値段を見て驚いてしまう。オレンジジュースなのに、なんでこんなに高いのだろう?そんな思いで副島新の方を見ると、副島新は平然とした顔をしていた。値段にも動じてなかった。


「副島セン……新は?」


「スパークリングワインにしようかな」


「え?車は?」


 今日は車でここまで来ている。スパークリングワインを飲んだら帰りはどうなるのだろう?飲酒運転なんかさせられない。




 
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