小さな不思議のお話
1. 来栖夏帆②

その侵入者は、私とはそこまで変わらないくらいの歳の男の子だった。


少し小柄で、顔もなんとなく可愛くて、
笑ったらきっと私よりも可愛いだろうな、と思うような顔立ちの男の子。

「え...お前っ!俺の秘密区域に何入ってるんだよっ...!!!」

彼が口を開いて一番初めにそう言いました。

え、えぇっ?!
それは私のセリフです。

そう叫びたくなるほど怒りが自然と湧いてきました。


「ち、ちがう...もんっ?! わ、私の秘密基地だよっ....!!」

人見知りをする私が、頑張って言った言葉でした。

「...」

男の子はすごくぽかんとして、こっちを見つめていました。

「ふーん。俺だけじゃなかったんだ、ここの、秘密基地」

「そ、そうだよ!?み、みんなの森でしょっ?!」


私は、自分の中で一番かっこいいと思ったセリフを口にしました。すると彼は、
吹き出すように笑い出しました。

「お前、面白いな!さっきは私の秘密基地だとか言い張ってたくせに、みんなの森だ
って言い出すなんて...笑わせんなよ!」


男の子の笑顔は本当に可愛くて、きっと私が恋愛体質だったら、すぐ「好き♡」ってなりそうな感じでした。

「じゃあ、お前は特別に、俺の秘密屋敷を紹介してやるよ。」


彼はそう言って私の方に寄ってきました。

「....ひみつやしき....?」

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