小さな不思議のお話
3. 来栖夏帆③


男の子が行く通りにいつも来ている場所より遠くへ行くと、
ぺしぺしと木の枝が私の体に当たる位木々との距離が近く、いつも慣れているはずの森なのに少し怖く感じた。

「....ん、んんぅ...」

まだかなぁ....
と思っていると、自然とそんな言葉が盛れた。

「もーすぐだからなー!」

それに気づいたからなのか、男の子は少し私の方に戻ってきてそう言った。

きっと、本当はいい人なんだろうな


すると、そこまで古くはないくらいの木造りの小屋が見えた。

「す、すごいっ....!秘密基地みたい....!カッコイイ!!!」


本当にそこはすごくて、アニメ、漫画でよく出てくる秘密基地そのものだった。

「だから、秘密基地だって言ったろ?」

「す、すごいね....!すごい!」

「お前本当に面白いやつだな。名前何?俺は...ユウって呼んでくれ」

「わ、私は、なつほ...来栖夏帆!!」

「夏帆か!分かった!今日はもう帰らないと母さんに怒られるからまた明日、ここで遊ぼう」

「う、うん!そうだね!また明日、この時間で、ここで。」


そう言ってからユウと名乗る少年と別れたあと、

次の日もその次の日もユウと私は遊んだ。

でも、初めてあってから一週間が経った日。


ユウはこの場所に訪れなくなった。
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